【マドリード26日森田裕美】スペイン滞在中の広島世界平和ミッション(広島国際文化財団主催)第三陣は二十六日、首都マドリードで三月に起きた列車爆破テロ事件の被害者や遺族らと交流し、痛みを分かち合った。
「3・11アトーチャ・テロリスト犠牲者協会」のメンバー六人と市内のホテルで会った。警備員のホセ・ロドリゲスさん(38)は、被害が最も大きかったアトーチャ駅で左脚に大けがを負った。
「腕や脚がちぎれた人たちに助けを求められながら、何もできなかった心の痛みの方が大きい」と、今も続く後遺症を沈痛な表情で語った。
三十四歳の夫を亡くしたエバ・キロンさん(35)は「怒りを覚えたが、今は暴力で報復しようという考え方は間違っていると思う」と訴えた。
被爆者の細川浩史さん(76)=広島市中区=は、原爆で最愛の妹を失った経験を語り、英国の大学院で学ぶ野上由美子さん(31)=同市安佐北区出身=は「テロ被害者の生の声に触れ、暴力への深い怒りと悲しみでいっぱいです」と話していた。
【写真説明】キロンさん(左端)とロドリゲスさん(左から2人目)に折り鶴を手渡す第三陣メンバー(撮影・田中慎二)
   
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