被爆五十周年の一九九五年、沖縄から手こぎ舟で長崎、広島を結ぶ祈りの旅をした。原体験が残る三つの地がリンクできれば、戦争の記憶を風化させず、平和への新しい流れがつくり出せると考えたからだ。
昨年二月には、イラクの首都バグダッドで、米国の対イラク攻撃に反対する平和コンサートを開いた。翌月、広島市中区の中央公園であった「NO WAR(戦争) NO DU(劣化ウラン弾)!」の人文字集会に駆け付けた。
「戦争を止めるために何かしたい」。そんな思いを抱いて集まった六千人の市民の平和への熱気に触れた。ヒロシマとナガサキ、オキナワが立ち上がることは、全世界の希望だ。
恐怖に縛られた「核の傘」による調和ではなく、真理に根ざした「愛の傘」による調和を実現しよう。力によるファシズムではなく、非暴力による平和な世界の実現を目指そう。
人類初の被爆地であるヒロシマが、この地球を争いの場から、全人類が友達になるための和合の場に変えることに力を注げば、紛争地の住民ら世界の人びとにとって、大いなる励ましのメッセージとなるであろう。
【写真説明】喜納昌吉さん 歌手(55)
   
|